2014年7月30日、東洋タイヤは、米国でのタイヤ意匠権侵害申立てが認められたと発表した。この問題は、中国やタイのタイヤ製造業者、また、米国のタイヤ輸入販売業者が東洋タイヤのタイヤデザイン意匠権を侵害していると訴えたものだ。 (参照:ニコンの意匠権侵害により、米国でポラロイドブランドのデジタルカメラが販売差止めに

東洋タイヤは、北米市場において「TOYO TIRES」「NITTO」というブランドにおいて乗用車用タイヤやライトトラックタイヤの展開をしている。しかし、タイヤ製造業者や米国のタイヤ輸入販売業者が、東洋タイヤのタイヤの溝形(トレッド)と側面デザイン特許を侵害していると、米国国際貿易委員会 (ITC)に提訴。その訴えが認められたものだ。

今回の申し立ての後、15社は和解に同意。輸入販売の中止と在庫品の廃棄に応じた。その一部は、模倣品の金型廃棄と金銭賠償にも応じている。ITCは、意匠権侵害の事実を認定。ITCの調査手続きに応じなかった8社に対して、制限的排除命令および販売差し止め命令を命じた。

この事件は、主に米国で販売されている製品に関するものですから、おそらく、タイや中国ではなく米国の企業が、東洋タイヤ製品の意匠(デザイン)を模倣して、その模倣品を、技術提供により、労務費など生産コストの低いタイや中国に生産させ、完成した製品を米国に輸入し、米国の企業が最終的にそこで販売したのものだと考えられます。

東洋タイヤの製品は、北米市場で高い評価を得ているとのことですが、このような形式で、同じ意匠の製品が、東洋タイヤの純正の製品よりも、相当に安価に販売されては、高い開発費を投じて意匠を開発した東洋タイヤとしては、大変な迷惑を被ります。

今回、東洋タイヤの提訴が米国国際貿易委員会(ITC)に認められて、模倣品の米国への輸入禁止や販売禁止を内容とする和解や命令、在庫品の廃棄などが決まり、ひとまずは安心といったところでしょうか。