意匠登録を受けるためには、以下の6つの要件をすべて満たす必要があります。
1)意匠であること
2)工業的に利用可能であること
3)今までにない新しい意匠であること
4)同一又は類似の二つ以上の意匠の出願があった場合、再先願のものであること
5)創作が容易でないこと
6)不登録事由に該当する意匠でないこと
各項目について説明していきます。
1)意匠であること
意匠法で意匠とは、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されています。出願の意匠が、この定義の通りに物品と結びついたデザインであって、かつ、ある程度の見た目の美しさを持たねばならない、ということです。
2)工業的に利用可能であること
出願の意匠を利用した物品が、工場で製品として量産できるものでなければならないということです。従って、美術館やマンションなどの不動産、一品製作の彫刻・絵画、自然の鉱物を利用した置物のようなものは意匠とはなりえません。
3)今までにない新しい意匠であること
出願前に同一又は類似の意匠が、知られていないことをいいます。新規に創作された意匠で、これまでにない新しいデザインを有するものでなければ登録はできません。
4)同一又は類似の二つ以上の意匠の出願があった場合、再先願のものであること
日本の特許権については、先願主義が採用されています。意匠権の場合にもそれが採用されているため、同一又は類似の複数の意匠の出願があった場合、その中で一番最初に出願した者のみが意匠権の登録を受けることができます。つまり、意匠権の登録を受けるには、同一または類似の意匠の出願人の中で一番最初に出願しなければならないということです。
5)創作が容易でないこと
例えば、公然と知られている意匠を少し変形させただけというような、創作性の低い誰にでも簡単に作成できるような意匠は、意匠権の保護の対象とはならないということです。
6)不登録事由に該当する意匠でないこと
出願の意匠が、意匠法上の不登録事由、すなわち、公序良俗に反する意匠、他者の業務にかかる物品と紛らわしい意匠、物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠(意匠権は機能を保護する権利ではないからです。)の各事由に該当しないことです。
以上が意匠登録を受けるための要件となります。