意匠登録を受けるにはどのくらい時間がかかりますか?

意匠登録を受けようとする場合、まず、決められた様式の意匠登録願書と添付図面を特許庁長官あてに提出します。

この願書と図面が提出されますと、それらが意匠法で定められた所定の様式のとおり作成されているか否かを審査する方法審査が行われます。

続いて、出願された意匠が、意匠権としての登録に適格であるか否かを審査する実体審査が行われます。

この実体審査は、具体的には、意匠法第2条で「物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されておりますが、出願された意匠が、この定義に当てはまるかどうか、工業上利用可能であるかどうか、オリジナルなもので、すでに意匠登録がされている他の意匠と同一又は類似のものでないかどうか、日本国内及び外国で公然と知られているデザインから容易に作成できるものでないかどうか、公序良俗に違反するものでないかどうか、などが審査されます。

この実体審査において、出願された意匠が意匠権としての実体を備えていると審査官が判断した場合、最後の登録審査に移ります。

この登録審査では、方法審査、実体審査の結果を踏まえ、登録すべきか否かを審査します。この登録審査は、方法審査、実体審査をクリアしていれば、比較的簡単な審査であるといわれています。

この登録審査をクリアすれば、出願人が登録料を納め、その後、意匠登録原簿に出願された意匠が登録され、意匠権が発生し、出願手続きが完了します。

ところで、最初の方法審査で、願書等が所定の様式を満たさなかった場合、審査官から補正命令が発せられます。

この補正命令に対し、出願人は不備を修正した補正書を提出することができます。

この補正書が適切であると認められた場合、方法審査はクリアできます。

また、実体審査においても、出願された意匠が意匠権の要件を満たさないと審査官が判断した場合には、出願人に対し拒絶理由通知書が送付されます。

この拒絶理由通知書に対し、出願人は意見書を提出して反論できます。

この意見書の提出により、審査官が拒絶理由があるとした判断を取り消した場合には、実体審査がクリアされます。

さて、意匠権を受けるために必要な期間についてですが、方法審査と実体審査において、補正命令や拒絶理由通知書の送付が無く、スムーズに審査が進んだと仮定した場合、出願から登録までだいたい半年~1年程かかります。

この期間は、指定する物品によって差がかなりあります。

さらに、上述の補正命令や拒絶理由通知書の送付があり、それに対する手続きで補正書や意見書等の対応が必要になる場合には、さらに数ケ月の期間を必要とします。