意匠権の存続期間、権利期間とはどういうことですか?何か違いがあるのでしょうか?

存続期間とは、権利が存続する期間のことをいいます。

具体的には、意匠権が20年、特許権が20年、実用新案権が10年というように、各種の法律によって、規定されている期間のことです。

一方、権利期間とは、権利が有効に保護される期間をいいます。

ここでいう権利が保護される期間とは、具体的には、意匠権をはじめ、特許権や実用新案権等の知的財産権が設定登録された場合、その効力として、その知的財産を排他的・独占的に使用する権利や、他人にその知的財産をライセンスしてロイヤリティを得る権利(実施権)、その他様々な出願人や申請人に有利な権利が発生しますが、実際にそれらの権利が、有効に利用できる期間ということです。

存続期間も権利期間もほとんど同じ意味のようにも思えます。

しかし、知的財産権のうち、実用新案権と特許権は、存続期間は出願の時から起算されますが、権利期間は設定登録の時から起算されます。

つまり、存続期間が特許権は20年、実用新案権は10年ですが、その存続期間は出願の日からはじまる一方、実用新案権や特許権の上述のような様々な権利を利用できるようになるのは、設定登録の日からとなります。

出願の日から設定登録の日までは、通常、半年か1年かかりますので、これらの権利の場合は、実有効期間というべき権利期間は、存続期間である特許権の20年、実用新案権の10年より短い期間であるということになります。

このような場合には、存続期間と権利期間と区別して考えることは、重要な意味を持つものと言えます。

一方、意匠権の場合は、存続期間の起算点が設定登録の日であり、意匠権により発生する権利を実際に利用できるようになるのも、同じく、設定登録の日からです。

したがって、存続期間と権利期間は一緒で、存続期間と権利期間を分けて考える実益はありません。

意匠権の場合は、基本的に権利期間という用語は使用しないで、存続期間といいます。

さて、意匠権のように、存続期間と権利期間が一致する場合は問題がないのですが、実用新案権や特許権のように、それらが一致しない場合の存続期間は、特許権が20年、実用新案権が10年ですので、それらの権利もその期間だけ有効であると考えていると、間違いを犯してしまいます。

権利期間という概念をしっかり把握して、権利の有効期間は設定登録からではなく、出願日から起算して10年なり20年であることを、間違わずに覚えておくことが大切です。