組物の意匠制度の趣旨を教えて下さい。

組物の意匠制度の趣旨はシステムデザイン、すなわち、体系的に構成されるデザインの保護です。

例えば、システムキッチンは、流し台、調理台、ガス台、収納棚から構成されますが、この構成要素である流し台や調理台などの個々の物件を各別に意匠登録しても、個別の意匠権による使用禁止を避けつつ、それらを組み合わせたシステムキッチンの全体イメージとしては完全に類似しているという巧妙な模倣をする者に対抗できません。

そこで、そのような者からこのシステム全体としてのデザインを保護するために、それらの構成物件をシステムキッチンという「組物」として、ひとまとめにして意匠登録できるという組物意匠制度があります。

なお、通常の意匠登録は一物件ごとに出願しなければならないのが原則ですが、組物意匠は複数の物件を同時に一つの出願で行うので、この原則の例外と言えます。

ところで、この組物意匠の登録ができるのは同時に使用されるに二つ以上の物品であって、経済産業省令で定めるものを構成する物品に係る意匠であり、かつ、組全体として統一があるものと規定されています。

この省令で定めるものには、上述のシステムキッチンや一組の応接家具セット、一組のゴルフクラブセットなど56種類の物件があります。

したがって、システムデザインであれば何でも登録できるわけではなく、この56種類のどれかに該当しているものでなければ登録できません。