類似する意匠を複数創作しましたが、まとめて出願することはできますか?

意匠法の第10条に関連意匠という制度が規定されております。

その条文(一部省略)には、「意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という)に類似する意匠(以下「関連意匠」という)については、当該関連意匠の意匠登録出願日が、その本意匠の出願日の日以後であって、本意匠の意匠登録が掲載された意匠公報の発行の日前である場合に限り、意匠登録を受けることができる」とあります。

ですから、一つのデザインコンセプトの意匠を創作する過程で、それに類似した複数のバリエーションの意匠が同時期に生まれる事はよくあることだと思いますが、そういった場合、本来であれば、最初の一つの意匠が登録されれば、他の意匠はその最初の意匠に類似した意匠として、新規性を欠くため、登録が拒否されるはずなのですが、この関連意匠の制度を利用すれば、最初の元になった意匠を本意匠、その他の派生した意匠を関連意匠として登録できます。

派生的に創作された類似する複数の意匠は、通常の意匠権の登録としては出願できませんが、本意匠に類似した関連意匠として、この制度を利用することにより、まとめて出願することができます。

そして、出願したすべての類似する意匠につきまして、審査の結果問題がなければ、関連意匠として登録を受ける事ができ、関連意匠権として独自の法的保護を受ける事ができます。

なお、この関連意匠の出願に関して注意すべき点があります。

まず1つ目は、関連意匠は、すべて本意匠に類似する意匠である必要があります。他の関連意匠には類似しているが、本意匠には類似していない意匠の場合は、登録を受ける事はできません。

2つ目は、条文にありますように、関連意匠の出願は本意匠の出願日以後であって、本意匠の公報発行の前日までの間にしなければなりません。

3つ目は、1件毎に本意匠と同額の登録料(1年目から3年目まで毎年8500円、4年目から20年目まで毎年16900円)がかかりますから、本意匠の登録料のほかに、登録する類似意匠の個数に上記の金額を乗じた金額を、併せて納付しなければなりません。類似意匠だからといって登録料に割引があるわけではありません。

以上の3点が、関連意匠の出願に際し、注意すべき点として挙げられます。