意匠を権利化したいのですが、秘密にしておきたいです。何かいい方法はありますか?

意匠が登録されると意匠公報に登録されますが、意匠は特許や実用新案の他の財産権に比べ模倣が容易なため、公開されると模倣される危険性があります。

そのために、意匠法の第14条で秘密意匠制度が設けられています。

この制度では、意匠登録出願人が意匠登録の日から3年以内の期間を指定して、意匠を秘密にしておくことを請求することができます。
この秘密意匠の請求が認められると、意匠権が登録された場合には、意匠権者の氏名、住所居所、意匠登録出願番号、年月日、登録番号、設定登録年月日が意匠公報に掲載されますが、願書及び願書に添付した図面・写真・ひな形・見本の内容に関しては、秘密にすることを請求した3年以内の期間は公報に掲載されず、非公開となります。

意匠登録出願者以外の者は、意匠登録があったことはわかりますが、それがどのような意匠(デザイン)なのかは、分からない状態になります。

このことによって、出願者が新たに創作した意匠は、その意匠を利用した商品の発売前に、他の者によって模倣されることを防ぐことができます。

例えば、車のモデルチェンジの際、新型車の発売直前までの期間を指定して、この秘密意匠制度を利用することにより、新車の発売主(新デザインの創作者)は、競合他社が新しいデザインが模倣することを防ぎ、新型車の発売以前に、同一又は類似の車が発売されるという不都合な状態の発生を避ける事ができます。

この秘密意匠制度の適用を受けることで、登録日から任意に指定した最長3年以内の期間は、意匠を秘密にすることができます。

さて、この秘密意匠の制度を利用するためには、意匠登録出願人は、①出願人の氏名又は名称及び住所又は居所②秘密にすることを請求する期間を記載した書面、を意匠登録の出願と同時に、又は、初年度の登録料の納付と同時に、特許庁長官に提出する必要があります。

なお、②の秘密にすることを請求した期間は、別に請求することにより、3年を超えない範囲内で延長、又は、短縮することが可能です。

登録料の納付の際に認められているのは、秘密意匠の請求のタイミングが意匠の出願と同時の場合のほか、意匠の審査・設定登録が出願人の予想より大幅に早く終了した場合、また、その意匠を利用した商品の発売前に意匠公報に掲載され公表される場合も想定されます。

しかし、その場合でも、出願人が出願時に秘密意匠を請求していなくても、後からそれを請求できるように、登録料の納付時において本請求を認めています。