2014年11月、江崎グリコは韓国で販売されている韓国ロッテのお菓子パッケージが意匠権を侵害しているとして韓国裁判所に提訴した。
(参照:意匠権が侵害されたとする判断基準はありますか?)
訴えているのは、大阪に本拠地を置く全国的なお菓子メーカー江崎グリコだ。訴えの内容は、同社が2012年10月から販売しているポッキー、プリッツの高級版「バトンドール」のパッケージデザインに酷似しているものを韓国ロッテグループがお菓子ペペロの高級版「プレミア ペペロ」として販売しているというものだ。
グリコ側は、韓国でも同パッケージの意匠権を取得しているため、無断でデザインを使用した韓国ロッテ側が権利侵害に当たると判断したという。商品の回収を求める警告文をロッテ側に出したものの対応が不十分だったとし、 昨年11月に訴訟に踏み切った。
「バトンドール」は江崎グリコが大阪市の阪急百貨店梅田本店などで限定販売しているポッキーやプリッツの高級版である。パッケージデザインは、縦長の箱をひねったような優雅な曲線の形状が特徴だとしている。
今回は、江崎グリコが、韓国で自社が開発したお菓子パッケージの意匠登録を行っていたために、自社が開発したデザインを守りやすくなります。デザイン開発には多額の費用がかかります。多額の費用をかけて開発したデザインを、第三者にただで模倣されてしまったら、大きな損失を被ります。
なお、現在はグローバル経済化が進んでいます。日本企業も、積極的に海外で販売活動を展開しております。その際に、販売活動を展開すると同時に、意匠権や商標権の取得といった知的財産権に関する対策も同時に考えておかなくてはなりません。
特に海外では、日本企業の監視の目が緩いことを利用して、デザインや商標の盗用が多発します。その際、その国の意匠権や商標権を取得していない場合には、なすすべもなく、第三者による盗用を黙ってみているしかありません。こういった事態を避けるためには、海外での商品(役務)の提供と同時に、商標権や意匠権を取得し、悪質な知的財産権の侵害があった場合には、直ちに法的な措置がとれるような状態にしておく必要があります。
そういった意味では、韓国で意匠登録を行っていた江崎グリコは、韓国ロッテの意匠権侵害の疑いに対して、直ちに法的な対策が取れましたから、知的財産権に対して適切な対応をしていたと言えましょう。