製品の一部のデザインに特徴があります。
どういった出願をすればいいでしょうか?

意匠法の第2条第1項では、「この法律では、『意匠』とは、物品(物品の部分を含む。第8条の場合を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と規定されています。

この条文の「物品の部分を含む。第8条の場合を除き、以下同じ。」という部分は、平成18年の改正により付け加えられたものです。

この改正により、従来、意匠権は製品全体に係る意匠(デザイン)しか登録できなかったものが、製品の一部についての意匠(例えば、冷蔵庫の取っ手部分に係るものや、理容用ハサミの持ち手部分に係るもの)も登録できるようになりました。この制度を部分意匠制度と言います。

従来の意匠権の登録制度では、例えば、冷蔵庫の取っ手部分の優れたデザインを考案し、製品化して意匠登録をしたとしても、冷蔵庫全体に係る意匠としての登録しかできませんでした。そのため、競合する他の会社が、その取っ手部分のデザインのみを盗用し、冷蔵庫全体を非類似のデザインとして意匠登録の出願をした場合、競合する他社の意匠権の出願は認められる傾向にありました。

このため、最初にその冷蔵庫の取っ手部分のデザインを創作した者が、せっかく意匠登録をしても、ライバル会社等が上述の手法により同じ部分のデザインを意匠登録してしまうために、最初の創作者が意匠権の保護を受けられなくなることが度々ありました。

このような弊害を除去するために、製品の一部のデザインについても、意匠登録をできるようにしました。そして、良質な(製品の一部の)デザインを創作した者の権利を保護するために、この部分意匠制度が導入されました。

この制度を利用することで、創作された製品の一部の特徴あるデザインの部分についても、意匠法上の保護を受けることができます。

ちなみに、この部分意匠登録の出願につきましては、基本的な部分は、全体意匠登録の出願と同じですが、願書の「意匠に係る物品」の欄に「部分意匠」の欄を設けることや、「意匠の説明」の欄に部分意匠が添付図面においてどのように特定されているかを説明することなどの若干の違いがあります。

しかし、全体意匠に比べて、部分意匠の登録手続きが特に難しいということはありません。