建物は意匠登録できますか?
意匠法により、登録できる意匠は物品と結び付いたものでなくてはならず、工業的な方法で量産できるものでなくてはなりません。
したがって、意匠法の対象となる意匠は、原則として工場等で量産できる動産に関するデザインということになります。
結論をいいますと、建物は不動産ですから建物のデザインを意匠登録することはできません。
なお、例外的に使用時には不動産となるものの、販売時には動産に準じて取り扱われる組立式のバンガローや組立式の橋梁、滑り台等、エスカレーター等は、デザインに特色があれば意匠登録することができます。
しかし、建築分野のメインである建物本体のデザインは、意匠法で保護されることはありません。
この建物のデザインは、芸術のレベルに達するような優れたデザインであれば、著作権法の対象になることがあります。
しかし、意匠法の登録の要件では、デザインの芸術性はそれほど重要な要素ではないと言われているので、著作権法上の保護を受けることは少々ハードルが高いと言えます。
建築の分野では、建物のデザインは最も重要な位置を占め、また、建築の分野も産業全体の中では大きなウエイトを占めていることを考えると、このデザインが意匠法の対象から外れていることは、少し問題があると言えます。